他業界と比べて介護業界の給与水準は低く、離職率を上げる原因にもなっている。人材確保が難しい理由は、離職率の高さだけではない。介護職に就く人の数は増えているにも関わらず、介護が必要な高齢者が増えるスピードの方が速く、追いつけない状況なのだ。
このような状況を改善すべく、待遇改善を目指して「介護職員処遇改善加算」が実施されている。ただ、実際に介護職員処遇改善加算が給与に反映されて状況が良くなったと感じている職員は4割に満たないという話もある。また、中には施設からこの加算制度についての説明がなかったという話もあるのだ。
元来、この加算制度を利用するには施設が職員に説明し、必要書類を提出しなければいけない。だが、加算分が振り込まれるのは施設に対してであって、職員への配当分も施設任せなのだ。施設によっては配分を常勤にだけするところもあれば、非常勤にだけするところもあるし、配分を頭割りにするところもあれば、勤続年数などによって違いを出すところもあるのだ。また、支給時期を毎月でなくボーナスのように年数回に分ける場合もある。加えて、給料が増えただけ社会保険料も増えるという点や、加算分を定額昇給分に充てることが可能という点も、職員が賃金アップを実感できない原因となっているかもしれない。
ほとんどの施設では介護職員処遇改善加算を利用しているため、待遇の改善が実感できない職員は、どのように配分されているのかの説明を求めると良いだろう。また、給与明細書に処遇改善加算という項目があるはずなので、いくら配分されているかを確認すると良い。